さすらいの用心棒

男たちの大和/YAMATOのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

男たちの大和/YAMATO(2005年製作の映画)
1.4
漁師(仲代達矢)はかつて戦艦大和の沈んだ地点まで一人の女性(鈴木京香)を連れて行くことに。かつて大和の乗組員であった漁師はあの戦争を思い出す・・・。

「尾道を歩いてて、あれが『男たちの大和』の撮影現場だってところを見たら兵員の格好したエキストラが歩いてるんですよ。全部、ロングから見てもデブなんですよ。それじゃ海軍なんか表現できっこないじゃない! どうかしてる。映画ってもう少し、世界に肉薄するものだったんじゃなかったのか。」by宮崎駿

駿の言う通り、たしかにほとんどの登場人物の顔が丸かった(笑) 戦艦大和の原寸大セットに六億円もかけたらしいけど、遠くから映した途端にCGになって画がものすごく安っぽいし、近づいても激戦を経たはずなのに汚れひとつないとか、映画的なアラは数えきれないけど、最大の欠陥はこの映画をつくろうとしたことにあると思う。

『さとうきび畑の唄』『山本五十六』とか、いまだに浪花節で戦争を語ろうとしているけど、音楽で思い切り盛り上げて、ここで泣いてください、みたいな演出が、いかに浅はかなことか、いい加減気付いてほしい。そんな薄っぺらい悲しみじゃなくて、もっと深い悲しみを描くべきだろう。人間の尊厳がある時の悲しみと、人間の尊厳がない時代の悲しみは全然違うはずなんだから。