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市民ケーンのSIのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
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2020.10.29
自宅TVにて鑑賞。

新聞王ケーンが死んだ、謎の言葉を残して。ニュース映画会社の記者である主人公は上司の命を受け、謎の言葉の意味を探りに、ケーンの身近にいた人々を順々に訪ねていく。

言わずと知れた名作。前回は途中で睡魔に襲われ断念。

オーソンウェルズ監督・主演。
当時ハリウッドを牛耳っていたアメリカ最大のメディア王・ハースト。経営が傾いてきていたとはいえ、この映画でのケーン同様、放蕩ぶりと若い女性に熱を上げる滑稽さを皆感じつつ、誰も言えなかった時代。オーソンはハーストが若き妾マリオンの性器を「バラのつぼみ」と呼んでいることを聞きつけ、彼を最大限馬鹿にする映画の製作に乗り出すのである。
映画でケーンが死の間際につぶやく言葉は、「バラのつぼみ」。バラのつぼみとは何なのか。主人公にそれを探らせる。こんなバカげたあらすじはない。まさに時代の寵児。

ケーンが妾スーザンのために築いた未完の城、ザナドゥは、アメリカ・バルボアパークの遠景を借景したようだ。これをセットで立てているのかと一瞬勘違いしてしまった。にしても、ザナドゥの内装の無数の彫刻や、人より大きい暖炉など、セットとしての見どころは多い。

現在のスーザンがいるバーを映すカット、まず街中のスーザンの壁ポスターを下から上にナメて、バーの天井から室内へ入っていく。覗き見ているようで、良いカメラワークで印象的だった。恐らく特撮で表現していると思う。

主人公トンプスンがカメラに顔を見せることは一度もない、という演出も好み。彼はあくまで聞き役で、メインはケーン。市民ケーン。

実話ベースで、ラストでテーマ性も提示され、冒頭から強いヒキもあり、良い映画でした。
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