いはん

ヒポクラテスたちのいはんのレビュー・感想・評価

ヒポクラテスたち(1980年製作の映画)
3.8
年始に信じられないくらい気持ちが沈む映画に手を出してしまった。軽いタッチで描かれているのとは裏腹に、ストーリーそのものは、エグく、何処か現実味があって、ゾッとする。

夢を抱いた若者、それも医者の卵たちを描いた。6人の6回生がそれぞれ見せる面の顔と、裏の顔。誰もお互いの悩みなんて知らなければ、自分のことも分からない。入学した時の希望、夢、迷いすらも消え、そこには淀んだ感情しか残っていないように見える。社会への扉が開かれるとき、我々はまじまじとこの世の残酷さを目の当たりにする。困惑し、争い、諦め、立ち直る。皆が違う道を辿っていくのを、観客の私はただただ見つめる。

最後の結末を知って、話を脳内でフラッシュバックさせる。こうなる運命だったのか、こう決まっていたのかと問う。分からない、誰にも分からないし、分かりっこない。
いはん

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