イチロヲ

呪いの家のイチロヲのレビュー・感想・評価

呪いの家(1944年製作の映画)
3.5
断崖絶壁に立つ屋敷を購入した兄妹が、その土地に根付いている悪霊の正体を究明するべく、封じられた事件を捜索していく。ドロシー・マカードルの小説を映像化している、怪奇ホラー。「幽霊」を恐怖の対象として登場させた初期作品と言われている。

いわゆるホラーハウス系だが、登場人物がキャーキャーと大騒ぎする見世物ホラーではない。楽観派の兄と慎重派の妹が、先代の近親者である娘と接触。屋敷に纏わり付いている不穏な空気の根源を明らかにしようとする。

主要人物の捜索劇に合わせて、屋敷内の幽霊がポルターガイスト現象を引き起こし、何らかのヒントを投じてくる。物語進行に沿って都合よく小出しにしている感が否めないが、「この幽霊は何者なのだろうか」という興味が湧いてくる。

ぼやけていた相関図が少しずつ鮮明になっていく過程が醍醐味であり、先の読めないミステリーを楽しむことができる。行動力に秀でている中年紳士が、儚い人生に喘いでいる二十歳の娘の心を射止めるというのが、昔の映画ならではのカップリング。
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