霧の立つ自然の中にある上原謙が住んでいる可愛い一軒家。夢ありすぎの住まい。武蔵野とかあたり？どこですか？ベッドの横にはピアノ、そして非番の日には訪ねてくれるあなた、デコちゃん。昼はとうもろこしで簡単に、夕飯はご馳走にしましょうとか先はみえないが幸せな日々。デコちゃんの歌声に命を救われた若原雅夫がわざわざ探してくれて求婚。労咳の音楽家といきなり現れたお金持ちの男、どっちにするので苦悶するけど、冷静な客観性も持つデコちゃんのリアリストぶりが新鮮。謙さんは謙さんで、雷雨にインスパイアされて作曲盛り上がったり、話していた悪夢の描写もすごくイイ。別れる別れないで何度も開かれるドア。衒いなく繰り広げられるメロドラマでよかったし、恋人が面会来なくなってしまった田中春男のエピソードも身につまされた。風に揺れる花と空っぽの花瓶。

新東宝、モノクロ、人間ドラマ、結核もの
出演者
高峰秀子
上原謙、若原雅夫
田中春男、寺島新、宇野重吉
三村秀子、水原久美子、落合富子、香山みち子、一の宮あつ子

【内容】
結核が不治の病だった時代故のお悩み、誰もが悲劇の主人公になっちゃう

・ストーリー
病院で看護婦をしている高峰秀子は作曲家の上原謙といい感じなのだが友達以上恋人未満状態
というのも上原謙が結核の病気持ちだからであった(在宅療養しながら作曲してる)

高峰秀子も上原謙も今のままじゃいられない、ってお悩みのなか
若原雅夫が高峰秀子を訪ねて来たことで決断の時が迫る、、、

・ネタバレ
若原雅夫は戦争中に外地で高峰秀子に看護されてその天使っぷりにやられて好きになっちゃった
それでやっと探し出しプロポーズするため訪ねて来たらしい、健康的で経済的にも問題なさそうな好条件な男らしい

悩むデコちゃんですが結局は上原謙を選ぶ
「もうどこへも行かない、もう何にもおっしゃらないで、私は一生あなたの看護婦よ！」

【感想】
高峰秀子目的の鑑賞
前半のキラキラしたデコちゃんが魅力的で素晴らしかった
でもストーリーはあまり面白くないし、現代から見ると古典的過ぎてファンタジーに感じちゃう

ほぼ初対面の男がいきなり訪ねて来てプロポーズとかやばいでしょ
デコちゃんがすぐ断らず考えてからとか言うのにもびっくりしちゃう

確かに不治の病で貧乏な男よりは
健康的でお金のある男のほうがいいだろうけど
昨日今日会った若原雅夫は論外じゃない？
詐欺師だったらどうするのよ？何でわざわざ九州行くのよ？
周りの当然若原雅夫と結婚すべき、みたいな空気も気持ち悪い

・なんでやねん
上原謙「音楽を取るか結婚を取るかだ！」
なにその2択
田中春男「もう贅沢は言わない、でもせめて３日に一度は恋人に顔を見せに来て欲しい」
贅沢が過ぎる

・出演者
ナース姿のデコちゃんが清らかでキラキラしてて素晴らしい
前半のいたずらっ子みたいな笑顔、愛らしい動作なんかも可愛らしくてたまらない

上原謙はなんかミスキャストな感じ
イケメンだけどおっさんに見える、病弱で悲劇的な主人公もなんかイメージじゃない

上原謙と若原雅夫の配役逆の方が良かったんじゃないかなぁ

デコちゃんは上原謙の何がいいんだろう？
「私が側にいなきゃ！」的な母性本能くすぐる系なのかしら？

人間だからこその悲しみを全て出し切ったら、静かな幸福が得られると思う。僕はそれについて描こうと思うんだ。

高峰秀子の存在感。グループショットでも入れ込みでも目が勝手に追ってしまう。

@高峰秀子特集

• #あんなの劇場鑑賞日記/2024