ピロシキ

PASSIONのピロシキのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
4.4
『寝ても覚めても』にあまりハマらず、『ハッピーアワー』も、5時間はチョット、と敬遠し今に至る。では『PASSION』は?うーーん、素晴らしかった。卒業制作と聞いて唖然となるほどに。演者のパフォーマンスと脚本の巧みさは、抜群だった。

彼氏の帰りを待って「ぜんぜん寝れなかったヨォ…」とつぶやく健気なカホが、一転その次の教室のシーンでは、『告白』の松たか子のようないかめしさで、生徒たちに「暴力」について説く。PASSION、それは時に情熱、またそれは時に受難。「他者を赦す」ことで、はたして人はどこまで自己を保てるのだろうか?

そしてこの(暴力的なまでに)唐突な展開を境に、後半からの 乱れ が始まる。「本音ゲーム」のくだりなんて、丁々発止のやり取りが凄すぎてイィィィーってなった。ほんであの朝散歩の長回し、トラックが出てくるタイミング、神すぎやしないだろうか。言葉も含めてどこまでが台本通りなのか、もはやちゃんとした台本があるのかも疑いたくなるほどのリアリティである。

彼ら全員の気持ちが理解できるし、またその一方で、誰の気持ちも理解できてはいない。彼らは全員自分とは違うが、その一方で、彼ら全員が自分だったと思う。
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