ユーライ

ゴジラVSビオランテのユーライのレビュー・感想・評価

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)
4.3
昔、シリーズを初代から一気見した時はどこがそんなに人気で斬新なのか釈然としなかったが、今なら良く分かる。『84』で携わっていた旧作のスタッフを一気に世代交代させて、ようやく「自分達のゴジラ」が観られた喜びは理解出来るし、映画としても旧態依然のパターンから自由になって若さに満ちている。以降の良くも悪くも子供向けになったvsシリーズとは一線を画している。全体としてはリアル・シミュレーションではあるが、超兵器を堂々と投入、80年代オタク・カルチャーからの影響であろう超能力美少女を活躍させても破綻しないのは、ゴジラ映画が何でも取り込んでしまえる器であることの証明だ。大森監督の興味もゴジラではなく、冒険小説然としたストーリーの方に向いている。しかし、戦争の暗い影を背負ったゴジラとバブルの組み合わせは根本的に水と油で、どれだけ有事を想定、緊迫した状況を作っても所詮はごっこ、どこまでもゲーム感覚で浮かれている。スーパーX2のレバーをガチャガチャやるとピコピコ電子音が鳴る仕掛けとか何なんだあれは。だから三田村邦彦と田中好子が「ベッドに行く」とかヌかしてイチャイチャするのは本当いらなくて死んでしまえと思うし、そもそも冒頭の銃撃戦から結構不安な気にもさせてくれるが、それでも「こういうゴジラ映画が作れる」可能性を提示したことはとても大きいことなんです。
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