ユースケ

ゴジラVSビオランテのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

西川伸司のデザインを大澤哲三が仕上げた植物怪獣ビオランテのビジュアルが生頼範義先生の盛り盛りのポスターのビジュアルに負けていない時点で勝利。
【ゴジラ】シリーズ第17弾(vsシリーズ第2弾)は、原水爆実験によって生み出されたゴジラを抹殺するために、遺伝子操作によって新たなゴジラ=ビオランテが生み出されるという皮肉の効いた物語で行き過ぎたバイオテクノロジーに警鐘を鳴らしつつ、ゴジラVSビオランテ、ゴジラVS自衛隊、ゴジラVS超能力少女・三枝未希(小高恵美)を描いた盛り盛りの一本。
特撮怪獣映画史に残るビオランテがゴジラに向かって突進するシーンと沢口靖子が昇天するシーンをその目に焼き付けろ。

とにかく、亡くなった娘の細胞を生存させるために娘が育てていた薔薇の細胞に娘の細胞を組み込み、その薔薇を永遠に生存させるために薔薇の細胞にゴジラの細胞を組み込み、ビオランテを生み出したマッドサイエンティスト白神源壱郎博士(高橋幸治)。超兵器スーパーX2を操作する鈴木京香や豊原功補をはじめ、陸・海・空・全自衛隊を指揮し、ゴジラを抹殺するためには超能力少女だって利用する防衛庁特殊戦略作戦室室長黒木翔三等特佐(高嶋政伸)。そして、皮肉屋でいつもぼやいてばかりいるのに、ゴジラが相手になるとやる時はやる男に変身するベテラン自衛官権藤吾郎一佐(峰岸徹)の3人のキャラ立ちが素晴らしい。
特に、雄叫びを上げたゴジラの口に抗核エネルギーバクテリアをぶち込み、不敵な笑みを浮かべながら「薬は注射より飲むのに限るぜ!ゴジラさん!」と捨てゼリフをかまし、ゴジラにぶち殺される権藤吾郎一佐の散りっぷりは必見。スーパーX2に搭載されたファイヤーミラー(【地球防衛軍】のマーカライトファープと【ゴジラ対メカゴジラ】のキングシーサーが元ネタ)がゴジラの放射熱線を1万倍にして反射するという説明を疑って左隣にいる開発スタッフに「本当かよ?」と聞いたら右隣にいる山本技術部長(永島敏行)に「本当です!」とツッコまれるシーンも、コンサート会場の大阪城ホールから避難を呼びかける斉藤由貴のシーンの直後に【夢の中へ】を口ずさみながら抗核エネルギーバクテリアを探してサラジアのアジトに乗り込むシーンも、たまりません。

外国人キャストのポンコツ演技とドラクエ過ぎるすぎやまこういちの音楽は微妙ですが、【ゴジラ2000 ミレニアム】の阿部寛の散りっぷりに影響を与えた峰岸徹の散りっぷりやゴジラを丸かじりにするオルガに影響を与えたゴジラを丸かじりにするビオランテ、【ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃】の宇崎竜童がぶち込んだ推進式削岩弾D-03に影響を与えた抗核エネルギーバクテリアが詰められたドリルミサイル、【ゴジラ×メカゴジラ】の釈由美子が乗った台風の中のメーサー殺獣光線車に影響を与えた豪雨の中のメーサー殺獣光線車など、後の【ゴジラ】シリーズに与えた影響を考えると本作の出来の良さをしみじみと感じさせられました。

ちなみに、【ゴジラ対メガロ】と【メカゴジラの逆襲】で主演を務めた佐々木勝彦が科学技術研究部長の竹田義成を演じております。

また、デーモン小暮のカメオ出演にテンションが上がった方には、本作のデーモン小暮Ver.のCMも要チェックです。