爆裂BOX

タロス・ザ・マミー/呪いの封印の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.7
エジプトの王家の谷でタロスと記された謎の墓が発見された。だが、その封印を解いた瞬間邪悪な霊気が溢れ出し、ターク博士は自らの命を犠牲に悪霊を封じ込めた。それから50年、再びタロスの墓へ発掘隊が向い棺はイギリスに運び込まれるが…というストーリー。
「ハイランダー」や「バイオハザードⅢ」のラッセル・マルケイ監督がミイラ男をテーマに描いたファンタジックホラーです。
タークス博士が自爆して墓を封印するも、祖父の汚名を濯ぎたい孫娘のサム含めた発掘隊がタロスの棺をイギリスに持ち帰ると、警備員が殺され骸布が紛失。それ以来被害者から臓器が持ち去られる猟奇殺人が連続するという内容です。
ミイラ男がテーマですが、本作のミイラ男は一味違っており、そこがこの映画一番の見所と言えるのではないでしょうか。邪悪な魔術師であったタロス王は死後、信者たちにその肉を喰われて肉体が消滅しており、包帯が動き出して人を襲っていきます。動く包帯はCGですが、四方八方に伸びたりして人を襲う所は中々面白いですね。空中を飛んでいく所は一反木綿みたいでした。襲い方もアパートの天井や床を吹き飛ばしながら犠牲者に迫ったり、トイレで手洗いの紙に化けて犠牲者に巻き付いて便器に引きずり込んだりとパワフルで面白いです。中盤過ぎでは人型になって普通のミイラ男っぽい姿にもなります。ドアや壁をぶち破ってサムを追い掛ける所もパワフルな感じでした。野良犬かと思ったら犬の姿に化けていた所はちょっと驚きました。終盤の半復活した姿は「ザ・ゲート」のミニオン(小鬼)ちょっと彷彿しました。
自分の肉を食べて殺された信者たちの転生した人間を襲い、復活の為にその臓器を奪っていくという設定も面白いですね。盲導犬のシェパードも襲われますが、皆が皆人間に生まれ変わったわけじゃない所も面白い。ただ、臓器を持ち去るけどその辺の描写は無いのでゴア描写は無いです。冒頭で顔が砂になって崩れたり、下半身や手が砂になってボロボロ崩れる所はありますが、ゴアと呼べるほどではないですね。
アメリカから来た刑事が連続殺人の謎を追う中でサムと知り合って半信半疑ながらタロスの存在やたくらみを知っていくミステリー仕立ての構成になっています。心霊療法で幽体離脱して犬の視点になる所面白かったな。
ジェイソン・スコット・リーが主人公のアメリカから来た刑事役ですが、アクション披露することもなく地味な感じでしたね。主人公よりもショーン・パートウィー演じるブラッドの方がエキセントリックながらもタロスの企み阻止しようと奮闘して目立ってました。死んだ後も活躍するし。クレジットではトップのクリストファーリー御大は冒頭で退場するチョイ役ですね。「シャイニング」のシェリー・デュバルがブラッドの友人で心霊療法士役で出演してます。後、サムの婚約者?役でまだ若いジェラルド・バトラーも出てますが最初ですぐ退場するチョイ役でした。
タロスに攫われたサムを救う為、同僚の考古学者や検視官などが集まってタロスの居場所を探り乗り込む所はちょっと「ドラキュラ」彷彿しましたね。
終盤、ある人物が従者になっていた所も意外だったけど、ラストのどんでん返しからのバッドエンドにも驚きました。悲劇的な犠牲払いながらもタロス倒して終わると思ってただけに。サムは男運なかったな。
二時間のランタイムで山場が少なくてイマイチ盛り上がりに欠ける所もありますが、中々楽しめたミイラ男映画でした。