このレビューはネタバレを含みます
2021/08/29 WOWOWプラス(録画)
『アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映(4K修復版)』(2021)より2K放送
宮沢賢治同名童話を原作とした短編アニメーション。
本作の製作中1991年、58歳で急逝した岡本忠成氏の事実上の遺作である。
1972年に共同でスタートした
「第一回・川本+岡本パペットアニメーショウ」1980年に終了するまで、共に油の乗り切った時代を切磋琢磨した川本喜八郎氏とはライバルであり良き友人でもあった。
岡本の手によって半分ほど完成していた本作は、岡本の意思を川本が引き継いだという。立体とも平面とも限定されない、セル画に前や後、全方位から光を当てて撮影されるという斬新な手法で製作された。岡本氏の遺作でありながら2人の共同作とも言えるだろう。画の色彩やタッチもノルシュテインにも例えられるが、ダークで独創的な世界観。
最後に総合して、岡本氏の短編は作品ごとにイメージがガラリと変わるのが特徴と言われる。
川本氏は伝統的で、岡本氏は素朴な温かみがあるアニメーション作家であり、日本が誇るべき芸術家だと実感した。
もっと多くの人に見て貰いたい。
クエイ兄弟やシュヴァンクマイエルなどの東欧作家とはまた違う、日本の心や美しさを思い出させてくれる芸術作品でした。