こたつむり

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.5
銀河戦争歴史絵巻 アナキンの章 完結編。
20世紀のノリの脚本と、21世紀の映像技術のコラボレーション。

テーマソングを聞くだけで。
浮遊感とともに胸が高鳴る…これが『スター・ウォーズ』の“ブランド力”ですね。映画の歴史の中でも唯一無二の存在。

そして、歴史に名を刻んだ“旧三部作”。
星の海をかき分けて飛ぶ宇宙船。様々な惑星、文化、異星人。そして価値観の衝突、戦争。少年の夢を具現化した世界観で彩られた銀河絵巻。これはルーカス監督の夢、技術、世相、運、様々なものが重なり合って出来上がった“奇跡”だと思います。

そして、“新三部作”とは。
その“奇跡”の再来を期した作品。
しかし、奇跡は“未来”に思い焦がれ、それを現実に変えたからこそ生まれたもの。“過去”に打ち付けた杭を掘り起こす行為は“未練”。そこに執着した時点で“奇跡”は生まれないと思うのです。

だから、本作は現実に則して。
21世紀の脚本を書くべきだと思いました。
それは、アメコミヒーローにも影がある現実。

少年たちの夢は、時を越えて現実となり“立体化”したのです。だから、空想であろうとも、そこに求められるのは濃厚な情報密度であり、現実感。そう思うと、エピソード2と同年に公開された『スパイダーマン』や、本作と同年に公開された『バットマンビギンズ』の方が、“旧三部作”の後継者に見えてしまうのは皮肉な話です。

まあ、ファンの皆様方からすれば。
「お前は何を言っているのかね」と思われるのでしょうけれども。でも、時代の変遷を感じてしまったのは事実なのです。確かに“旧三部作”は当時の最先端でしたが、それが21世紀の今でも通用するほど、時代の流れは緩慢ではないのです。

とは言いましても。
名の知れた作品として納得できるクオリティはあります。例えば、公開当時最先端のコンピュータグラフィックスは圧倒的ですし、天が堕ちてきそうな世界で繰り広げられる一騎打ちも。様々な想いを背負って闘う様は苛烈。そして悲壮。思わず、前のめりになる展開でした。

あと、グリーヴァス将軍。
機械の身体なのに咳き込み、戦闘場面では大仰にライトセーバーを振り回す姿は、どこか滑稽で美味しいキャラクタだったと思います。本作の中で一番『スター・ウォーズ』らしいと思った造形でした。

To be continued…→→→『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
こたつむり

こたつむり