四半世紀ぶりに35㎜フィルムで観た。と言っても覚えてたのはチュルパン・ハマートヴァ演ずるマムラカットがはち切れんばかりに可愛い!ということくらい。
今観るとまんまクストリッツァだなー。全てのものがあらゆる方向性をもって動き回り転げ回る。しかしレイプによる妊娠と、それによって女性が村の人々に除け者にされたり不幸が倍加されていく設定はうーーん…なんか嫌だなーと思ってしまう現在。ファンタジーだからなおさら。
男性に人生を狂わされ、男性の存在いかんで天と地ほども評価も生活も変えられてしまう女性というものを解放するためのラストの浮遊ではあるのだろうけど、レイプの被害者で何も悪いことしてないマムラカットちゃんだけが集落の人々から責められまくった挙句、集落の人々は1ミリも自分らが悪いとは思ってないし彼女が望んでないのに、なんで彼女一人が集落から引き離されることで解決したみたいになるんだよとも思う。チュルパン・ハマートヴァが今観てももーんのすごく愛くるしいだけに、全力で一生懸命演じているだけに、なんとも言い難い。
四半世紀前はそんなこと思ってなかった。どんな映画を観ても女性が性被害に遭ったりそのことで苦しんだりする表現は映画の定石みたいだし嫌だけどとりあえず受け流さないといけないのかなとか、特に70年代の邦画などは女性への性暴力シーンが多い印象で、幼少の頃すごくショックで以後もなるべく観たくないなとか思ってたんだけど、嫌なものは嫌だとはっきり言っていい、という風潮に現在なってきたのはいいことなのかなと思う。