いいねぇ。いわくつきのアン・シェリダンの自立心は『大砂塵』のジョーン・クロフォードをうっすら思い出す。（あちらもスターリング・ヘイドンだな。）シリアス劇か喜劇かの違いは、演出のさじ加減でしかないなと思いながら観ていた。どちらであってもサークの作劇の上手さを思い知る。しかも尺短い！素晴らしい！
ここでは男やもめの牧師スターリング・ヘイドンの三人息子が作劇のメディウムかつ使者であり、子役たちの癖や決め台詞の反復が作品への親しみを増す効果となる。アン・シェリダンと三人息子の画はどことなく白雪姫と七人のこびとを思い出す。楳図かずお先生柄の揃いの赤白ボーダー水着も可愛いな。
クライマックスで設けられたチャリティ劇の舞台は突如としてアクションを生む崖や滝を擁し、短いながらクライマックスとしてのインパクトを十分残す。それまでド派手な衣装を取っ替え引っ替えしていたアン・シェリダンはチャリティ劇あたりからおとなしめの衣装になり、しかしその気風のまま保守的プロテスタント社会に馴染んでいくようすを窺わせる。
アン・シェリダンがチャリティ劇をめちゃくちゃてきぱき監督するくだりはもっと観たかった。
