ジョンマルコビッチ総統

パンズ・ラビリンスのジョンマルコビッチ総統のレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.0
独裁政権下のスペインを舞台にしたファンタジー映画。

「ナルニア国物語」の背景に第二次大戦の影が横たわっているように、主人公のオフィリアはフランコ政権下、その権化のような冷酷な義父のいる対ゲリラの前線基地に送られ、戦争や死と隣り合わせの日々を過ごしている。そんな彼女の元に妖精が現れることから物語は始まる。

現実からの逃避として存在するファンタジー文学であるが、この物語はファンタジーの安穏と栄光の世界へ行くための試練と現実の厳しさを主軸に描くことで、ファンタジーに対して一石を投じている。

現実とファンタジー世界、現実と非現実のあいまいさも絶妙であり、映像、演出ともに完成されて、デルトロ監督のセンスに溢れる。

残酷でありながら、非常に美しい物語であった。

これから見る人への注意として、残酷なシーンや痛々しいシーンも多いため、楽しいファンタジーを期待して見始めるとショックを受けるかもしれない。要注意。