ゴダールマラソン。
ここまで観てきて、ゴダール作品で自分の好みは80年代後半以後のゴダールであることがわかった。映画ではなく、ドキュメンタリーのような、時に現代アートのような映像作品。
全8章からなるゴダールによる映画史。膨大な作品群からなる映画のシーン、著名人のポートレート写真、オールドマスターたちの西洋画などからなる、映像コラージュ巨編。そして、ひたすらに映画が織りなしてきた歴史についての自論と共に、小説や詩からの引用を展開していく。268分。
後期ゴダールの集大成的作品で、現時点での遺作である「イメージの本」のベースになっているもの。これは完全なるサンプリング的な手法。
何がすごいかと言うと、サンプリングやコラージュされた作品やポートレート、絵画、台詞、引用文のソース元が全部見られるチャプターがついていて、この作品のここをこうやって引用してるのか、とか、この作品はチェックしてみようと、かなり偏りはあるものの、難解に感じるゴダールの頭の中を覗けるような作りになっているところが面白い。
「パサジェリカ」の引用でもって、ポーランド映画とナチスのこと、政治的なメッセージ(政治期のような共産主義ではなく、真っ当なもの)を発する。イタリア映画の偉大さを賞賛する。
「ヒッチコックはナポレオンやアレクサンダー大王も成し得なかった、”宇宙のコントロール”に成功した。ドライヤーと共に奇跡を撮影できた数少ない芸術家」と大絶賛していた。
自身の作品からの引用も多数。
徴は至る所に。
※各章ごとのレビューはまたまとめの時に、備忘録的に書く。