mende

夢の女のmendeのレビュー・感想・評価

夢の女(1993年製作の映画)
3.9
配信もされてないので見づらい作品だが、吉永小百合が非常に美しかった。
彼女は主演作が途切れずに公開される恵まれた人気俳優だと思うが、中でも彼女の美貌が生かされた映画だと思う。

元は士族の娘だが家が傾いたため、妾に。そして花魁へ。廓で客が自殺したために新聞に毒婦と書きたてられる。まったく違う映画だが『逃げた女』『最も普通の恋愛』と同じようにスキャンダルから逃げる女になるかと思いきや、おつきのお松(樹木希林)などの助力で立ち直り、いい旦那に恵まれる。
立ち直るとはいっても彼女の場合、花魁という立場上、立ち直らないという選択肢はない。そんなことをしたら一族共倒れ、娘に会えない、自分も経済的にやっていけないのだから。彼女は、逃げられない女。いくら花魁でも苦界であることには違いない。

原作者の永井荷風も、戯曲化した久保田万太郎も意図していないと思うが、最後はシスターフッドの風味もあった。

坂東玉三郎はあんなに美しいのに出演せず、監督に専念。カメラワークが素晴らしく、あまり舞台作品臭が感じられなかった。
吉永小百合と樹木希林、『夢千代日記』とまったく同じ構図だった。
mende

mende