mendeさんの映画レビュー・感想・評価

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

<核兵器の恐怖はこれで伝わるのだろうか>
オッペンハイマーという悪魔の兵器を作った人間の半生が描かれる。
時間軸を混ぜていることで、より面白く、目が離せない映画になっている。このあたりの手腕はさすが。
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

<豪華キャストが動き始めた!>
Part2になってようやく話が動き出して、面白くなってきた
(こう考えるとPart1は薄味だった)。
豪華なキャスト、ものすごい音響、でっかい画面に圧倒される。
シャラ
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ロ・ギワン(2024年製作の映画)

1.5

<ご都合主義>
中国に脱北した母と息子。息子、ロ・ギワンだけがさらにベルギーに出国し、そこでなけなしの金を盗まれてしまう。
盗んだのは偶然にも韓国系現地人の若い女、マリ。
都合がいいことに言葉が通じる
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戦火の馬(2011年製作の映画)

4.0

<まさかの馬に感情移入してしまう映画>
馬に同情とか、愛着とかいうレベルを超えて、
馬を尊敬すらしてしまう映画。
カンバーバッチやトム・ヒドルストンなどイギリスの人気俳優が揃っていても、堂々たる主役を
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BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(2016年製作の映画)

3.9

<子どもごごろに訴える>
見逃していたスピルバーグ作品。
冒頭のBFGとの出会いはワクワクするし、最後の巨人たちとの戦いはドキドキする。途中のBFGの家の様子や、女王様とのあれこれなども楽しい。
起承
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

<白人に受けるための黒人の”リアル”>
「黒人らしくない」作風のため受けが悪い黒人の小説家が主人公。
ステレオタイプではないために正当な評価を受けられない設定、あまり新しさは感じなかったけど面白いコメ
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チキンラン ナゲット大作戦(2023年製作の映画)

3.9

<脇役も楽しいクレイアニメ>
「ウォレスとグルミット」のAardmanAnimation、「チキンラン」の続編。クレイアニメっぽさがなくなってきている気がするけど、今回も無謀というか大胆な作戦で派手な
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幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

4.1

<しあわせ? まるで地獄のよう>
物語が始まるのは夏、イル・ド・フランスの公園、柔らかい日差しとひまわり、ハンサムな夫と美しい妻、幼い子どもたち、ひまわりのワンピース、モーツァルト。
絵に描いたような
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

<はてしなく疑わしい妻>
妻は夫を殺したのか。なぜ夫は死んだのか。
答えははっきり出ないけど、
妻には妻の問題が。夫には夫の問題があった。
息子と犬はこの夫婦の問題に巻き込まれている。

話が進むにつ
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のら犬(2023年製作の映画)

3.7

<どっちもどっち>
フランスの田舎で定職につかず、つるんでる若者たち。
ミラレスとドッグは幼なじみだが、ちょっとぼんやりしているドッグはミラレスに見下されていて対等な関係じゃない。ただそれはそれで安定
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.0

<既視感>
60年以上前なので仕方ないのかもしれないが、
SFの衣を着ていてもどこかで見たことのある古いお話し。
ここではない場所で美女と会い、彼女に執着する男。
自己憐憫的なのに独善的。

動画では
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.1

<盲人だが見なかったことにはしない!>
ポスターがホラー映画のようでちょっと敬遠していたけど、しっかりした韓国時代劇。盲目の鍼治療師の主人公(リュ・ジュンヨル)が宮廷の医師となり、陰謀に巻き込まれる。
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偽りの隣人 ある諜報員の告白(2020年製作の映画)

3.9

<湿っぽいけど笑える政治家コメディ>
拉致されて自宅軟禁される政治家とくれば金大中を思い起こさせる。でも、冒頭に本作品はフィクションですと断り書きが表示されるくらいなので、似たようなことがあったとはい
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王になろうとした男(1975年製作の映画)

4.0

<やっぱり植民地ってやばかったのだ>
ピーチー(マイケル・ケイン)が何の罪もないインド人を走行中の列車から突き落とすというドン引きするシーンが象徴するように、彼は現地人を人間として見ていない。
そんな
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デュエリスト/決闘者(1977年製作の映画)

4.1

<男の沽券>
ナポレオン時代からブルボン復古王政まで、二人の軍人が決闘を繰り返す。
もともとすぐ決闘に持ち込みがちなフェロー(ハーヴェイ・カイテル)が、そのことをとがめる上司の言葉を伝えただけのデュベ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.1

<目がくらむ、心もくらむ>
アニメーションの表現をひとつ押し上げたような素晴らしさ。すべてがかっこいい。
でも、映像を見ていると字幕が追えなくて、反対に字幕を読んでいると映像理解が追いつかずに困った。
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マーベルズ(2023年製作の映画)

4.0

<キャロルの拳で無双してほしい>
今までMCUでよく見ていた悲壮な感じではなく(もちろん過去のことで特にキャプテン・マーベルには後悔やら悩みやらあっても)、軽いコメディっぽい作り。ちょっと雑な感じはあ
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隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

4.2

<邦画史上もっともかっこいい姫>
エンタメの見本のような痛快な作品。三船が強く、千秋実と藤原釜足のコンビはおバカで楽しい。タイトル通り、この三悪人が目立つが、作品の善性というか倫理観を支えているのは上
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僕と幽霊が家族になった件(2023年製作の映画)

3.8

<ゆるいけど主人公がちゃんと成長する>
死んだゲイの青年マオ・バンユー(リン・ボーホン)となぜか結婚させられる異性愛者の警官ミンハン(グレッグ・ハン)。ミンハンはちょっとゲイに偏見を持っていたけど、幽
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新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.0

<ゾンビに見る朝鮮戦争の影>
『バッドランド・ハンターズ』を見て、やっぱり「気は優しくて力持ち」のマ・ドンソクといえばこれだよなと、見直してみた。Netflixではもうすぐ配信停止らしく、いいタイミン
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マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

4.0

<ヒロイン成長物語というより文芸業界物語>
確かに若い女性の主人公(マーガレット・クアリー)の成長物語ではあるんだけど、それより90年代の文芸業界、ニューヨークのムードが楽しい。
なんとなく作家になり
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.8

<ちょっともやっとするのは考えすぎか>
幼い少女のAIってちょっとありがちかなぁと思いながらも、しっかり盛り上がりがあるエンタメ大作。
なんだけど、ニューアジアってなんだ? 最初に主人公がいた場所は東
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椿三十郎(1962年製作の映画)

4.1

<シンプルなほうの三十郎>
笑えるシーンが好ましい。
城代の「乗った人より馬が丸顔」とか、その奥方と令嬢が脱出中なのに馬小屋のわらに寝そべって「ああ、いい気持ち」と言い合ったりとか、平田明彦が小林桂樹
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バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

3.5

<マブリー無双>
『コンクリート・ユートピア』のその後の世界を舞台にしているらしいけど、アクションとエンタメに振り切っているので、手触りはかなり違う。
もちろん気は優しくて力持ちのマ・ドンソクは大好物
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

<女性の自由を取り戻す大冒険>
素晴らしいものを見た。
衣装も美術もセットも美しい。
男によって作られて、幼さを愛でられていたベラ(エマ・ストーン!!)が、何もないところから自分の手で「尊厳」を獲得し
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新源氏物語(1961年製作の映画)

2.0

<好色一代男みたいな光源氏>
川口松太郎の『新源氏物語』が原作。
なんだか品がないというか、おっさん目線というか、女漁りに一生懸命な光源氏。
光源氏の時代は今とは倫理観が違うのは確か。でも、原作にある
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STILL:マイケル・J・フォックス ストーリー(2023年製作の映画)

4.0

<病気との向き合い方をスターに学ぶ>
誰もが知る大スターのマイケル・J・フォックスが、パーキンソン病になってしまう。人に知られないようにひそかに薬を飲みながら闘病するのも辛かっただろうが、なにより人生
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.2

西部劇の時代、主人公は男性二人だけどガンマンじゃない、カウボーイでもない。
二人はお菓子を作って売る、どちらかといえば声の小さい男たち。
稼いだお金で都会に行ってパン屋を開きたいというような、ささやか
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Saltburn(2023年製作の映画)

3.9

さすがバリー・コーガン(キオガン?)。
バスタブのシーン、気持ち悪かったー。
社会格差の話かと思ったけど、そういうことではなかった。
こういうことなら富裕層側を悪辣に描いても良かった気がする。
しかし
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フローラとマックス(2023年製作の映画)

4.0

主人公のフローラ(イヴ・ヒューソン:U2のボノの娘なんだって知らなかった)は、シングルマザー。一人息子のマックスを育てている。
マックスはちゃんと育ってるけど、フローラはどう見ても子育てに熱心とは言え
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.5

オープニングのタイトルクレジットがかっこいい。
クールな調子で行くのだなと思っていたのだけど、だんだん「おや?」っていう感じに。
主人公は暗殺を生業としていて、ストイックに仕事をこなしている。
彼の心
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.0

地獄のような現実の中で、このアパートは住民たちだけのユートピアを作り上げた。
パク・ボヨンの言う「ふつうの人たち」が間違った方向に行ってしまう過程が恐ろしくリアル。リーダー選びからすでに間違っていたの
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用心棒(1961年製作の映画)

4.2

今年最初の映画は家でおせちを食べながら。たぶん4回目くらい?の『用心棒』。三船敏郎が天才的にかっこいい。
昨日(と言っても去年だが)見た『小早川家の秋』と同じ年、同じ会社の映画で、キャストもかなり重な
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

4.0

珍しく東宝の制作配給。東宝の俳優が多い。
でもタイトルバックの織物はいつも通りで、衣装も浦野染織研究所。カメラマンも中井朝一だが、いつものローアングルで等間隔で連なる椅子や建物、小さな赤い色のものが配
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シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.0

ずっと見たかった本作。でも今年の映画納めはエグい映画になってしまった。
チョン・ドヨンは熱演。ソン・ガンホはいつもの俗物力を発揮。ふたりとも素晴らしかった。
主人公(チョン・ドヨン)は幼い息子を連れて
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

4.0

60代にして、メキシコまで泳ぎ切る。しかも5回目の挑戦での達成。
年齢を重ねても意志の力でできることがあるのに驚く。
でも、トレーニングや遠泳自体が過酷というだけでなく、周囲の人を経済的にも精神的にも
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