Kaji

キムチを売る女のKajiのレビュー・感想・評価

キムチを売る女(2005年製作の映画)
3.7
ルイジ・ギッリという写真家をご存知だろうか。

イタリアの写真家の作品を想起する絵作り。
動かず、切り取り、繋いで行く中に救いがない物語が封入されている。

悲壮感のなさが、彼女のすり減って空虚になっていく胸の中と同期していくようだった。
なぜこの映画のタイトルが「芒種」なんだろう。
中国で旧暦6月6日は、実りを祈る日らしい。韓国で6/6は国のために命を捧げた人を弔う日だそうだ。

朝鮮族、女性、カナダラを覚えない子、キムチ、訛り、露店取り締まり、空々しい天気、殺鼠剤、吹き込む風、読み上げられる漢詩。。。

ナショナリズムを持てない状態からアイデンティティをもつってどういうことなのか、「朝鮮族」という下地から「民族の繋がり」の外で生きる人を描いた佳作だった。
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