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南極物語のSIのレビュー・感想・評価

南極物語(1983年製作の映画)
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2019.4.19
自宅TVにて鑑賞

フジテレビ、鹿内春雄。
興行収入110億円。
フジサンケイのメディアを使って徹底的に宣伝し、文部省とも掛け合って教育的作品ということでPTAや教育委員会らにも上映を行わせたことで当時の邦画興行成績を大きく塗り替えた。
その後『ビルマの竪琴』『子猫物語』とフジ製作の映画が次々と空前のヒットを飛ばす事となる。

1958年、越冬隊によって南極に取り残された兄弟犬タロとジロの実話をベースにしている。
越冬隊と犬ぞり用の樺太犬らの交流。越冬を断念し撤退する過程のなか鎖に繋がれて南極昭和基地に取り残された樺太犬15頭。南極でのサバイバルのなか2頭しか残らなかった過程。帰国した越冬隊員の悔恨、そして1年後のタロとジロとの再会。
こうして書くと綺麗なストーリーラインが出来ていてもう2,3本ストーリーを走らせればまともな映画になりそうだが、今作はメインの1本だけを不必要に長いロングカットと南極っぽい映像で限界まで薄めて描いていて観ていて本当に眠くなってしまう。
どうせ犬が死んでいってしまうところはフィクションなのだから、モキュメンタリーのようにするのではなくもっと大胆に脚色すべきだったように思うがどうか。他のフジ製作の映画同様、今では誰も振り返る事の無い作品になってしまった。

犬が死んでいくシーンは本当に犬を殺してしまっているのではないかと心配になるほどリアルだったが、現場では相当上手くやっていたようだ。
東映の岡田茂は「犬がウロウロするだけで客が来たら、ワシらが苦労して映画撮る必要ないやろ!!」と配給を断ったといわれるが、その犬がウロウロするだけで100億売れてしまうのがこの匡なのだということを私達は認めなければいけないのだろう。

終盤、高倉健の「オーーーッ!!!」は必見です。あの嬉し泣きで全てが救われたように思いました。
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