フィルマン

美女と野獣のフィルマンのレビュー・感想・評価

美女と野獣(1946年製作の映画)
3.0
野獣の城、壁やテーブルから生えた腕が燭台を掲げたり給仕したりする幻想ホラーな光景がいい。像の無機質な動きなんかも癖になる。女神ディアーナの像が侵入者を射殺す動作の無慈悲さだとか。
なにより野獣・ベルの衣装、背景美術が宝石のようにきらきら輝く光には目が惹きつけられる。モノクロ映画では光が特に美しいものとして映る。

アヴナン=野獣かと早とちりしかけたが、野獣がアヴナンの容姿を奪う形で人間に復活したということだろうか。そしてアヴナンは野獣となり死んだのか、死んだわけではなく第二の野獣となるのか?
野獣の心と美男子アヴナンの容姿を持つ王子は、野獣もアヴナンも愛していたというベルの要望に合う人間だ。最後の飛んでいくシーンは宗教画のような構図で、今のエンタメ作品ではまず見ない画なので逆に新鮮であった。

ところでおとぎ話フィルターを取り外すとやはり野獣は変質者にしか見えないのが玉に瑕。殺人、誘拐、監禁、脅迫などの役満で愛が生まれる。ストックホルム症候群。

なんとなくだが、ハウルの動く城は本作の演出の影響を受けているように感じるシーンがところどころ見受けられた。