皿と箸

籠の中の乙女の皿と箸のレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
3.6
聖なる鹿殺しでヨルゴスランティモス作品に興味が湧き鑑賞。

この家族は外界から遮断され小さな世界の中で父親の持ち物としてまさにペットの様に入れ替え可能な存在として登場し、あらゆる手段で去勢されています。

作品のテイストは全く異なりますが、図式自体は「ブリグズビーベア」と同じです。しかし一方はパターナルとも言えるような感覚があるのに対して本作は単なるガバナンスの様な色合いが強いと感じます。
これは愛があるか否かが争点で、この二作の対比を通じて明らかになります。

また去勢の方法がなかなかユーモラスで時に狂気じみている部分だと思いますが、
家族という単位の中にヒエラルキーを設定して父に権威付けを行うという意味では、
日本も天皇による統治を効率的に行う為に家父長制を敷いていた時期があり、この間の特別定額給付金が世帯毎に支給されたのも夫婦別姓が進まないのもこの制度の名残りなのではと個人的に感じています。

実際に家族は父親の持ち物という感性が一般的だった時代があったんですよね。
そういった封建的な感性が自我形成に与える影響を極端にラディカルに描いたのが本作だと言えると思います。
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