ハマボーイ

籠の中の乙女のハマボーイのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
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子供の幸せを願う
それは親がもつ自然な感情である。

ここのお宅の子供たちは、純粋無垢で素直だ。
親の言う事はしっかり聞くし、健康で無邪気。
しかし、何かがおかしい。
子供たちは成人しててもおかしくないくらい大きいが、
あまりにも幼稚で無知なのである。
彼らは1度も外から出たことが無く、親の決めためちゃくちゃで滑稽なルールのもとだけでの生活を過ごしていた。
思想を持たせないために、真実ではない言葉の意味を教え、本や映画はもちろんNG 。従順であるよう、飴と鞭をしっかり行った。雇った女性に息子の性処理をさせたり、外の世界は危険だといい血をみせて怖がらせる。それは子供たちを守るための躾けという名の親のエゴだが、そんな歪んだ父親(というより異常なのは実は母親?)の支配下で、子供たちはすくすく育っていた。

「犬歯が事前に抜けたら独り立ちして家を出る」
このルールは、一生外に出れないという意味だ。

毎日晴れ。
まるで母体の中の胎児のようにプールに浮かぶ子供たち。
静かで穏やかな時間。
その平穏な空気が、すごく居心地悪い。
奇妙で滑稽で、ちょっと血生臭い。
一度入った外の情報は、家庭内で混乱を起こし、その歪みが連鎖を起こしたらもうとまらない。それは人間特有の、好奇心という名の貪欲さだ。
そして長女は自らの犬歯をへし折った。

両親の結婚記念日で披露した子供たちのダンスは今まで見たことがない衝撃的なシーンで、なんともいえない余韻と中毒性があった。ラストカットが素晴らしすぎる。
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