すぽんてぃにあす

光の旅人 K-PAXのすぽんてぃにあすのネタバレレビュー・内容・結末

光の旅人 K-PAX(2001年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

ジーン・ブリュワーの小説を映画化した作品。

ケヴィン・スペイシーは比較的ハズレが無いから序盤からずっとワクワクさせてくれる。
今回も自称・異星人という役を難無くこなすケヴィンに終始安定の2時間でした。

宇宙人と精神病棟。
気難しい患者達と上手くやっていくどころか、救世主の如く慕われていく。
その過程こそ駆け足だったけど、やはりこういう流れは優しい気持ちになれる。

安定感があるのは事実だけど、全体的に説明不足なのも確か。
視聴者を納得させる素材も少なく、頷かせるに至らないまま物語は進み、そして終わる。
ただ不快な要素も無いから、バランスの取れた内容だったと心から思った。

ここまでは表向き、そしてここからはこの作品の本質について考えてみる。
自分もこの映画を一度観終わった後、この終わり方では説明が足りな過ぎ、腑に落ちないと感じ取ってしまった。
そんなレビューを考えていた矢先、目から鱗が落ちるかの如く、とある発想が脳裏を過る。
そして自分でも驚くくらいの感動を得てしまった。

映画の中には1から10を全て伝えてくれるものほど、良い映画だったと認識されることが多い。
それはその通りだと思うし、そういう映画はとても好きだ。
でも中には1から5までしか伝えてくれない作品もある。
つまりは説明不足、消化不良、意味不明、パターンはいくつかあると思う。
本作も、この説明不足の場合に該当していると考える。
だから単純に考えれば、色々と足りていないしイマイチな映画だと認識されても仕方はない。

ただこの映画を観終わってから、あそこはこういうことだとしたら辻褄が合うのではないかという思考を働かせてみる。
そしてとある結論に至ることで、残りの6から10の部分が綺麗に確立してしまうことが叶った。
自分なりの解釈だし、正解ではないかもしれない。
でも少なくとも自身を心地よく納得させることができたのだ。

映画を通して、こういう楽しみ方も出来るんだと悟ることができた素晴らしい作品です。
もしこの作品を観て、同じく説明不足だなと感じてしまったのなら、そこからは自分自身の求める着地点を模索することをオススメします。