半兵衛

バファロー大隊の半兵衛のレビュー・感想・評価

バファロー大隊(1960年製作の映画)
4.0
黒人に対する差別、婦女暴行殺人などシリアスな題材を扱った法廷ものなのに、フォード監督はいつも通りのユーモアを忘れない緩急を心得た演出なので気張らず鑑賞することが出来る。それでいて序盤で事件の伏線をさりげなく置いたり、お客さんが裁判による動きのない展開で飽きそうなところに回想でのアクションを入れたりする巧妙な語り口も見事。

それでも現在の視点から鑑みると黒人や女性といった社会的弱者への優しい配慮は良いとして、先住民をひたすら人間とせず排除すべき存在として描いているのに違和感はあるけどね。でもその先住民と警備隊の戦闘シーンがこの映画で活劇としての魅力を放っているのも事実。馬に乗る警備隊の面々が画面の奥から川を渡ってくるダイナミックさ、主人公たちに銃撃された馬に乗るインディアンたちが何人か倒れながらもそれでも走る躍動感、舞台となるモニュメント・バレーの美しさ。こういうシーンを見るたびに、フォードは映画に活劇としての魅力を更に高めた作家なのだなと感じる。

裁判長が他の映画と違って全然威厳がないし奥さんに弱かったりするのが同じ監督作品の『周遊する蒸気船』などを思わせる。

『裸のキッス』で知られるコンスタンス・タワーズがヒロインを演じるが、勝ち気な役柄なのでぴったり。

ラストは予想通りの大団円だけれど、清々しい気分に。
半兵衛

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