もちもち

ボーイズ’ン・ザ・フッドのもちもちのネタバレレビュー・内容・結末

ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1984年、LAの犯罪多発地域サウス・セントラル。トレは厳格だが愛のある父親のもとで暮らすことになり、近所に住むダウボーイ、リッキーの兄弟と仲良くなる。劣悪な環境の中で生きる少年達とその凄惨な現実を映し出した物語。普段見ることのないアメリカのリアルな闇を生々しく切り取った様な作品だと思う。これは1984年が舞台だけど今もこういう地区の状況はさほど変化してないのだろう。日常的に銃声が聞こえ、そこかしこにドラッグが蔓延り、死体があってもさほど驚きもしない。生きていくために自然と悪事を覚え、負のスパイラルが続いていく。最終的な「平和を広めよう」というメッセージがこの映画の全て。当時23歳の監督が自身の経験をもとに作ったらしい。だからこそ町の雰囲気がものすごくリアル。刑務所を出たり入ったりのストリートギャングになったダウボーイ、アメフトの有望選手で大学からスカウトの話もあるが既に子供もいるリッキー、父親の影響で根は優しく真面目に育ったトレ。こういう地区でも色んな人がいる。そして真面目に生きようとする者も犯罪に簡単に巻き込まれる。こういう映画で白人からの黒人差別が描かれてないのも珍しいなと感じた。「スタンドバイミー」をオマージュした線路を歩くシーンで、普通に死体が町の中にあって、簡単に見つけられるのは皮肉が効きすぎている。死体を見ても少年達は驚かないし、町の状態を上手く表現したシーンだった。ヒップホップじゃなく意外と静かめな音楽が多かったのも印象的だった。あとトレの父親が最初はちょっと嫌な奴かと思ったけど、愛情と厳しさの両方をあわせもった凄く良いキャラクターだった。ああいう地区にいても家族の影響で生き方は大きく変わる。「ミッド90s」でも思ったけど服装が普通におしゃれだし、最近のストリートファッションに近くて、やはり流行は回ってるんだなーと。
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