evergla00

ミッドナイト・イン・パリのevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【lost and found in Paris】

婚約者Inezと彼女の両親と共にParisにやってきた小説家志望のGilが、大好きな1920年代にタイムスリップし、敬愛する作家や画家達と交流するという夢のようなお話。

GilはParisをこよなく愛するロマンチスト。 対してInezの家族は、持ち物や金銭感覚からしてかなり裕福で物質主義。Gilの脚本家としての収入だけは認めるも、他はあらゆる点で彼に否定的な様子が繰り広げられ、Gilは結婚前からよく耐えてるなぁと😅。全く価値観が合わないのに、どうして婚約まで至ったのか不思議…。Paulと結婚したCarolの薬指には大きなダイアモンドらしき石が光っていました。多分Inezは、そういうことに対抗するタイプの女ですかね。

タイムスリップする先に登場する多くの芸術家達。現存する自画像や写真と比べるとよく似てる人を選んだと思いました。また調べると、各々の特徴をピンポイント的に掴んでいることが一層分かって面白いです。以前長い間Dali作品にハマっていたので、特にDaliのシーンは笑えました。(仲間を呼ぶ時「おいで!」と言っているように聞こえません?読めた脚本にも、スペイン語訳字幕にも載っていないです。アドリブかなぁ。)
婚約者は相手にしてくれなくても!、芸術家達は皆真摯にGilの相手をします。書きかけの小説には的確な助言を与えるし、まるで噛み合わないような恋愛相談も、天才達は頭ごなしに拒絶せず、むしろインスピレーションを得て違うものを見ています😁
👄🦏🦏🦏

昔は良かったとよく聞くけれど…

確かに文化という面で、刺激と仲間に恵まれていた時代があったかも知れません。

彼らが遺した美しい作品に、その血の滲むような努力や苦難の陰は見えないため、それらが制作されるに至った背景に憧憬を抱きがちです。しかし、現代では「偉人」扱いの彼らも、当時は我々と同じように必死に生きて、悩み、切磋琢磨していたのです。
この時代だって、彼らの作品をたっぷり受け取れるようになったと考えれば幸せだし、更に昇華させて新しいものを生み出すこともできます。結局、未来の「偉人」になれるかどうかは、後世による評価次第です。

タイムトラベルで昔に戻り、開発前の失われた風景を見てみたいという気持ちはありますが、科学と人権意識の未熟な世界ですから、そこで生きていく決心はなかなかつかない気がします…。利便性の高い生活に慣れてしまった分、今より苦労する面もありそうで😓

Paul役とRachel McAdamsはこの頃付き合っていたんですな。
Hemingway役が誰だか思い出せなかったのですが…、この人!髪でこんなにイメージが変わるとは!!
ガイド役はサルコジの奥さん。

映画ポスターの夜空はvan Goghですが、Maxim’s は1893年開店なので、既にお亡くなりになっていて出演できなかったんですね😌

Gilがヒントを与えたことになっているBuñuelの「皆殺しの天使」はいつか観てみたいです。

男性版シンデレラというか、
芸術家達への愛がぎゅっと詰まった、知的でとてもお洒落な作品でした。

ニセHemingway 御大のお言葉:
“No subject is terrible if the story is true, if the prose is clean and honest, and if it affirms courage and grace under pressure.”

“You'll never write well if you fear dying.”
作家は命懸けなのだ!

“I believe that love that's true and real creates a respite from death. All cowardice comes from not loving…..”

ニセGertrude Stein女史の素晴らしいお言葉:
“We all fear death and question our place in the universe. The artist's job is not to succumb to despair, but to find an antidote for the emptiness of existence. And you have clear and lively voice. Don't be such a defeatist.”
このシーンで奥に映る椅子に座った女性が、パートナーのAlice B. Toklasでしょうか。兄のLeoもMatisse殿と登場。

Gil:
“The present is ….. a little unsatisfying because life is a little unsatisfying.”
evergla00

evergla00