デニロ

緋牡丹博徒のデニロのレビュー・感想・評価

緋牡丹博徒(1968年製作の映画)
3.5
1968年製作公開。脚本鈴木則文。監督山下耕作。

芳紀23歳藤純子の初の任侠映画主演作。妙に老けて見えたりもするのですが、今どきの23歳とはやはり違っていたと思います。なので女学高時代の紗のかかった映像が微妙なのを笑ってはいけません。

ストーリーは、花よ蝶よと育てられた熊本の顔役の娘藤純子が、父の辻斬りによる死からその未来が変転していく話。いつしか自身も博徒となり義理と人情の世界に身を委ね、父の敵とめぐり会うのを待つのです。もはやシーンのひとつひとつが見せ場たっぷりの連続で様式化されています。省略も激しくそれはそれはストレスなく進行していくのでその様式の美しさに身を任せれば心地よいのです。

相方の高倉健がいつも都合よく居合わせ、この危難もまたと思うと登場してくれるので脱力したりもしますが、健さんとお竜さんのアップを見比べながら、やはり健さんの白目の面積は尋常ではないと再確認させてくれます。撮影部も照明部もしつこいくらいにその白を強調しています。

金子信雄の登場シーンで笑いが起こってしまったが『仁義なき戦い』世代の観客にとっては仕方のないところで、本作では筋の通った博徒の親分を演じていてその笑いはすぐに収まったのでした。ただ、主要な脇の若山富三郎とその舎弟山城新伍がふざけすぎていて、こりゃなんじゃらほいと思ったのはわたしだけではあるまい。

暗い色の着物よりも明るい青緑色の着物が映える藤純子でした。

ラピュタ阿佐ヶ谷 血湧き肉躍る任侠映画 にて
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