ずどこんちょ

サブウェイ・パニックのずどこんちょのレビュー・感想・評価

サブウェイ・パニック(1974年製作の映画)
4.3
最高!!
1974年の作品ですが、手に汗握る展開にずっと目が釘付けでした。

ニューヨークの地下鉄が武装集団にハイジャックされた。18人の人質と100万ドルの身代金要求。
前代未聞のハイジャック事件に現場は混乱し、犯人との交渉に難航します。何より、逃げ場のない地下鉄からいかにして犯人たちは逃げ出そうと考えているのか。地下鉄公安部のガーバーは敵との交渉の窓口となりながら、深まる謎に挑みます。
そんな中、事件の全貌がまだ見えない中で無謀にも単身で犯人たちを説得しに向かったグランド・セントラル駅の地区主任が最初の犠牲者となります。
それまでは地下鉄ハイジャックという半ば無謀な計画に危機感の薄い乗客たちでしたが、犯人たちの残忍さと陥った現実を知り、一気に緊張感が高まるのです。

撮影は実際にニューヨークを走る地下鉄で行われ、その実現に至るまでには模倣犯を恐れた鉄道会社との折衝に難航したのだとか。
確かに元鉄道運行員が敵組織のメンバーである故に鉄道関連の知識を駆使した犯罪計画で、そのリアルさこそ緊迫感があって良かったです。
犯人たちの逃亡計画もなるほどなと思わせられました。青信号の目的はそっちだったか!実際は技術的な面であそこまで上手くは行かないのでしょうけど、鉄道会社が恐れたのも納得です。

あと、作品のずっと最初の方から噂されていた「車両に乗り込んでいて人質になっているであろう捜査員1名」の登場シーンも興奮しました。
ずっと機が熟すのを待っていたわけで。それが誰なのか、男性なのか女性なのかも分かりませんでしたが、その人が立ち上がった瞬間に、これで何かが変わるのだろうと確信しましたね。
主役じゃないのに見せ場持って行ったなぁ。

ちなみに、もう一人主役じゃないのにカッコ良かったのはニューヨーク市長に決断を迫る強気な助役です。
思うに、本作では空前絶後の緊急事態に立ち上がり、自分たちの仕事をまっとうするプロたちの働きぶりがカッコ良いのです。

しかし何より、事件の解決のために奔走するガーバーがとにかく頼もしかったです。ガーバーがいなければ、この事件解決しなかったでしょう。
犯人たちとの冷静な交渉のみならず、冒頭では東京から来た地下鉄重役に対するつまらない施設案内も文句も言わずに対応する真摯な態度が見られましたが、公安局や警察の捜査に対してラッシュアワーまでに事を収めて鉄道を平常に戻したい鉄道会社には珍しく激昂。
今は内輪で不満を押し付け合う場合ではなく、人命救助と事件解決を第一とすべき時なのです。

そしてラストのガーバーの顔ですよ!
ずーっと、いつか伏線になるんだろうなぁと思っていた要素が遂に回収されたラストシーン。
ガーバーのあの獲物を射止めた目が印象的。終わらせ方まで最高でした。