stanleyk2001

王将のstanleyk2001のレビュー・感想・評価

王将(1973年製作の映画)
3.3
『王将』1973(昭和48年)東宝

実在の棋士・坂田三吉の半生を描いた北条秀司作の新国劇『王将』の5回目の映画化。

貧しい野生的なアマチュアと上品なエリートの対決。ライバル関根を演じる仲代達矢の静かに微笑む姿に『あしたのジョー』の力石徹を思い出した。

もちろん『王将』の方がずっと前からある作品。『あしたのジョー』のストーリーのヒントの一つかもしれない。

『あしたのジョー』と『王将』の大きな違いは矢吹丈が天涯孤独なのに対して坂田三吉は妻と子があり家族に迷惑をかけながら勝負に打ち込む所だ。

商売の金を使い込んで賭け将棋で借金を作る三吉は今の価値観では共感しにくい。しかし村田英雄が歌った『王将』が大ヒットしたことから分かる様に当時は女房を泣かして将棋に命を賭ける三吉は共感される人物だったのだなぁ。

勝新太郎・中村玉緒夫妻の芝居を長回しで捉えた場面はさすが息が合ってる。

将棋会の会費を出したり三吉の手術代を出してやったりする大阪の後援会の人々。推しの為にお金を出し推しの成長を期待して応援する見返りを求めない人々が、いたのだな。
stanleyk2001

stanleyk2001