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最高殊勲夫人のstanleyk2001のレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
3.7
『最高殊勲夫人』
The Most Valuable Madam
1959(昭和34年)
大映

「女性の就職は結婚までの腰掛けというのが定説ね。雇う方でもすぐに辞めることを計算しているのよ。長飯、長シャレ、長話。ふくれる、むくれる、すぐに泣く。でも仕方ないわ、今の状態では女はやっぱり役に立たないから」
「あら私は働く以上はちゃんと働きたいわ」

『青空娘』に続いて週刊明星に連載された源氏鶏太の小説を白坂依志夫が脚色して増村保造が監督したラブコメディ。

2024年から1986年にタイムトラベルするドラマ『不適切にもほどがある』を見てるみたい。

・昭和34年のOLは花嫁候補として入社して男性社員と結婚して退職するのが当たり前
・丸の内の会社員はビルの中のレストラン街で昼食をとるが下町の中小企業ではメザシを焼いて昼ごはん。
・今は無いタカラビール。田宮二郎の『宿無し犬』にもタカラビールの看板がデカデカと登場してたな。
・ロカビリーがブーム

三姉妹の野々宮家と三兄弟の三原家。長男と長女、次男と次女が結婚している。長男は大企業の社長で次男は専務。

社長夫人である長女(丹阿弥谷津子)は三女(若尾文子)と三男(川口浩)を結婚させて両家の関係を強めようと画策する。

川口浩と若尾文子は丹阿弥谷津子に反発して他の交際相手と結婚しようとするのだが、いつしか二人は、、

丸の内の大企業やテレビ局など華やかな場所を舞台に繰り広げられる微笑ましいラブコメ。

ウェルメイドという言葉がピッタリ。大企業の社長と親戚になっても世話になるものかと突っ張る三姉妹の父親、宮口精二が良い。

登場人物に一人も悪人がいない。恋の鞘当ても嫉妬も影でコソコソしないで本人に直接申し入れる。気持ちいい。これは源氏鶏太さんらしいところ。

・市田ひろみさんがOLの一人で出演している。
・川口浩の婚約者の社長令嬢は前衛書道やフェンシングに熱中するかなり個性的な女性。演じている金田一敦子はキリッとしたシャープな美貌。国語学者の金田一京助博士の親戚。数十作に出演したが『すれすれ』でベットシーンを要求されてスパッと引退した。カッコイイ。
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