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青春の蹉跌のtackyのレビュー・感想・評価

青春の蹉跌(1974年製作の映画)
3.8
初見は中学二年の、学校の授業である。
桃井かおりとショーケンのベットシーンが始まると、「うぉー」と歓声が起こって、静かに鑑賞したい私としては、非常に腹立たしかったのを覚えている。
中二達には刺激が強すぎるこの作品を、何故、先生方が選んだのか?今でも謎である。

みうらじゅん氏の提唱する、所謂「清張地獄」に堕ちた主人公の物語。
自分の将来だけに凝り固まって、司法試験を順調に突破していき、支援者の娘をフィアンセにして、順風満帆な主人公。
彼の心の隙間の欲望の吐け口が、家庭教師をしていた娘で、とんでもない事になる‥まるで松本清張の作品に出てくる主人公である。(原作は石川達三のベストセラーだが‥)

そのショーケン演じる大学生の生き様と、桃井かおり演ずる短大に合格した娘のしたたかな生き方を対象に描いて、ラスト破滅に向かって行く。そして、刑事によって明かされる驚愕の事実がオチとなって、その後も後味悪い思いを引きずった。

長谷川明彦の主役二人の焦燥感を描いた脚本も凄いが、神代のいつもの粘着質の演出が特に素晴らしい。この作品にかけるショーケンの並々ならぬ意気込みも良かったが、やはり桃井かおりの気だるい演技が魅力的だった。

最後に、檀ふみって、何でお嬢様役しかやらないのだろう?
いや、ただ単に出来無いのだと思う。
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