きっとそこはこの世ではないどこかなのだろう。離島に降り立ったふたりはアダムとイブのようだ。夏の陽射しのなかで笑い戯れ愛しあうふたり。そこは楽園のように見えるがしかし、その刹那的な日々はふたりの愚かさや幼稚さを浮き彫りにし現世の猥雑さを呼び寄せ、やがて訪れる破綻を予兆させる。浅はかだとか代償が大きすぎるとか大人があれこれ口出しする必要はない、だってこんなにもまばゆい夏がそこにあるのだから。気のすむまで味わいつくせばいい。
トリュフォー、ウディ・アレンほか多くの映画監督に愛された本作。ハリエット・アンデルセンの野性味あふれる魅力に当時の映画少年たちがハートをわし掴みにされたのもうなずける。カメラを睨みつけ背景が暗転するクローズアップにはゾクっとした。