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アデルの恋の物語のmrhsのレビュー・感想・評価

アデルの恋の物語(1975年製作の映画)
4.5
『隣の女』とか『柔らかい肌』とか恋愛とそれにまつわる破壊的なことを撮らせるとトリュフォーはやはり凄いんではないかと。

イザベル・アジャーニ=アデルを単に一方的な愛に取り憑かれた人と観るには映画として上手すぎますね。長いカットもあるが、カット割が意外と細かいところがあり、トリュフォーにはやはりアメリカ映画的なカット割というのが染み付いているのでしょうか(全然関係ないが、最近観たヘルツォークの映画は意外なほどカットが長かった)。このカットの長短のセンスゆえにヴィスコンティにはならないというか…。

何故ここはロングなのか、何故セリフがミュートされるのか、何故ワンカットなのか。そこに確固たる答えはないのだけれども、とにかく気持ちが良い画面を作っている。あとこの人は絵になるものを見つけるのが本当に上手い。

そしてイザベル・アジャーニ。この人の興奮した場面での高速の台詞回しがなければ96分という尺にはならなかっただろうが、もしかしたらこれもトリュフォーの演技指導の面が大きい?と思わせるのはあのアンジェイ・ズラウスキー『ポゼッション』でのアジャーニを知っているからだろうか。満足。
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