ピンクマン

ブルーベルベットのピンクマンのレビュー・感想・評価

ブルーベルベット(1986年製作の映画)
3.8
平凡な学生が道端に落ちていた人間の片耳を偶然見つけ、その真相を追求していく過程を通して平凡な日常に潜む「非日常」を描いたサスペンス作品。

突然の滑稽な死、落ちてる耳、うごめく虫、素っ頓狂なほど鮮やかな青い空や赤い花、ブサイクな肢体をさらけ出すイザベラ・ロッセリーニ、なんとも醜い表情をさらすローラ・ダーン、幼児逆行のデニス・ホッパー、立ちながら死んでるオッサン、全く不可解なカイル・マクラクラン…などなど、ストーリー展開も登場人物もまるで寝てるときに見る夢のようであり、現実にはあり得ないと思いつつも、しかし妙な現実味があり、まさに夢を見ているかのような不思議な感覚で鑑賞することが出来る。

それから…「人生とは不思議なものだ。」と何回か登場人物が言うように、謎に満ちている。特に、性癖…人の性癖は謎。
ぶたれることで性欲が高まるイザベラのような人もいれば、デニスホッパー演じるフランクのように、暗闇にして女の股を広げ、口にマスクをして酸欠状態で「ママ」と言いながら果てる男もいる。ひたすら舐めるのが好きな人もいれば、好きな体位だってある。たとえ一見まともに見える人だって、大なり小なり、人は性癖を持っており、それは、深い関係にならないと分からない。ひょっとしたら、この映画の登場人物のように屈折した偏執愛を持っているかもしれない。人の顔なんて、氷山の一角だけであって、何が隠れているかは「謎」。
そんな「謎」をテーマにしたサスペンス映画の名作。
ピンクマン

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