ジョン

ブルーベルベットのジョンのレビュー・感想・評価

ブルーベルベット(1986年製作の映画)
4.8
~80年代アメリカ映画が生んだ芸術-倒錯、セックス、暴力~

「リンチと言えば?」という問いに、多くの映画好きが口を揃えて本作を挙げている印象。うちの大学の"映画の師匠"的な先生もこの映画を褒めてた。改めて見返すとそれも頷ける。

青く澄んだ空、凛と咲く薔薇、青々と茂る芝生………その中に群がる無数の虫たち。平和な日常に潜む闇、という本作の主題を端的に美しくそして気持ち悪く映像で示したオープニングが絶品。その後の主人公の青年が耳を拾う掴みも最強。
このオープニングが示す通り、主人公の青年が町の闇にどんどん深入りしてしまう。そんな主人公同様に自分もこの作品の魔力に引き寄せられてしまう。強烈なキャラクター達、影が支配したような映像、艶めかしく光るブルーベルベット。そのどれも強烈な魔力を放っていて、一度観ると逃れられない。

そしてそんなエログロナンセンスの極みである世界観にも関わらず、ピュアで爽やかな青春ドラマが成立しているのがこれまた凄い。
ジョン

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