ニューヨークの金回りのいい一家の人々が色恋沙汰のドタバタを繰り広げる、いつもの通りのアレン映画。踊りと歌のミュージカルシーンはそこそこ楽しいながらも今ひとつキレがない。こんなところも、何事も小さくまとめてしまういつもの通りのアレン節。同じ時期に製作されたジャック・リヴェットの『パリでかくれんぼ』なんて、予算規模ははるかに小さいのに、ミュージカル場面の演出ははるかにシャープだ。さはさりながら、本作の最後にゴールディー・ホーンとアレンの二人が見せる踊りは悪くない。ホーンの身のこなしはワイヤーアクションの無重力感と相まって優雅だし、アレンは神妙な面持ちでホーンの引き立て役に徹する。中年期のゴールディ・ホーンが若い頃より魅力的だということに気がついた。
