双眼鏡や望遠鏡で女の住まいを監視＝窃視していると、当然ながら事件を目撃する。ただ『裏窓』と違って、主人公は被窃視者に恋心を抱き、ついには仲良くなってしまう。このご都合主義的な展開は、もちろん、冴えない部署に勤務する刑事たちのくっだらない会話や、ヘンリー・シルヴァの怪演を描くための方便だ。また、ボート上の拷問は心底痛そうだし、刑事たちが球場で同じ方向に座っていて、上司が歩き回りながら事態の展開を聞き出す場面も最高。オープニング空撮ではタワーから主人公に移動し、エンディングでは逆に主人公からタワーへと移動する。エンディングクレジットに最後まで付き合った観客にサゲを見せるのが洒落ている。40年前に観てしっかり記憶していた。
