ぴよ

ブエノスアイレスのぴよのネタバレレビュー・内容・結末

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

Happy togetherとあるから仲直りする仲直りすると唱えながら見ていたので最後の終わり方で勝手にしょげてしまった。物理的にも心情的にも「一緒に幸せになる」と思いながら見ていたからなんですけど……。
2人ともお互いのことを好きで、なのにずっとすれ違っていて最終的には別れてしまう。お互いの思いやりがどうしても斜め上というか、的があったらど真ん中に刺さっているのではなく、微妙にズレている。そのズレがずっと溜まって最終的に大きな歪みを生んじゃったのかな…と思う。(ウィンがあまりにも生活能力がなくて甘えすぎなところもあるけど……ファイも世話やきすぎてて……)
じゃあこのまま好き同士でも一緒にいたら互いに傷つけてしまうのなら、って思ってだした結論が別れだった。その紆余曲折の答えがこれなのはなんだか勝手に気を削がれたような、寂しいような、でもそうせざるを得なかったんだろう。現にイグアスの滝で寂しかった(悲しかったかも)と言っていたのだから。チャンの存在は相反するファイへの想いと乖離した行動を少しでも癒えさせていたのではないか。
その「こうするしかなかった」を2人の人生の一部分を刹那的に映像にしていたのはとても美しくて、王家衛ならではだなと思う。Happy togetherは、別の場所で別の相手で「一緒に幸せに」なりましょうってことだったのかなあ。
ただまだ文脈が読み取るのが難しいので、これは人生経験なのかもしれない……。
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