ぽち

落穂拾いのぽちのレビュー・感想・評価

落穂拾い(2000年製作の映画)
3.2
様々な問題を提起していて、考えさせられるドキュメンタリー。

監督の言わんとすることは理解できるし、その骨格に対して、監督が興味を持った者などのシークエンスを巧みに絡ませた構成は見ごたえがある。

ただ、どうしても個人的に違和感をおぼえたのが、ミレーの落穂拾いと、現代での市場やゴミ捨て場をあさる人々を同一視していることだ。

根底に貧困があるのは同じだし、「拾う」という行為にスポットライトを当てているのも理解できるのだが・・・・・
作物を収穫しきれずに残ったものをもらうことと、レストラン裏のゴミ箱を漁るのは、どう考えても同じではないと思う。

現代でも農場で廃棄された物をもらうのはかなり近い。でもこの現代の行為も、市場の撤収後を漁るのとは大きく違うと思う。

まぁ、そこを関連付けて一本の映画としようというアイディアなので、ここを否定してしまうと成り立たなくなるのは分かるが、作品全体が「問題提起」までで、その後の作者の意見とか解決策の提示はないので、同一視に無理やり感が強く出てしまった。

また、「文明批判」と見えてしまうのもマイナス。

様々な問題を自分で考えてみるきっかけとしては良い作品だろう。



余談。
「貧しくて、ゴミを漁るしか食べ物を手に入れられない」
確かに、人生の悪循環にハマり、どうしようもなく・・・って人は多々いるだろう。

でも、それより多いのが、単なる怠け者ではないだろうか?
「働けよ!!!」ってのが素直な感想。

まぁ、街をぶらぶらしてゴミ箱漁っていれば、どうにか生きていけるので、その心地よさに慣れてしまったのだろうな。
ぽち

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