ユースケ

スペルのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

スペル(2009年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ちょっとでも油断していると突然現れ、ジューシーな婆汁による執拗なお口責めを仕掛けるババアの死霊(ローナ・レイヴァー)が、過去の自分にコンプレックスを抱えながらも、仕事に恋愛に健気に頑張る真面目なヒロイン(アリソン・ローマン)に襲い掛かる本作は、サム・ライミ監督9年ぶりのホラー映画復帰作にして、格の違いを見せつけた一本。

恐怖と笑いの絶妙なバランス、ケレン味溢れる漫画のような演出と編集、ドップリ感情移入させるカチッとハマったキャスティング、そして、鼻血ブー、全て文句無し。
ぶち切れたヒロインがババアに呪いを叩き返すカタルシス満点のラストバトルから、彼氏(ジャスティン・ロング)の裏切りによるハッピーエンド直前の大どんでん返しまで、クライマックスも必見。

ちょっとした不親切から逆恨み買い、理不尽なほど酷い目に遭わされるヒロインですが、その原因は出世のために自分の意志を曲げ、大いなる力に伴う大いなる責任を軽視した事にあります。
本作は、原題の【DRAG ME TO HELL(私を地獄に連れてって)】でヒロインの罪悪感を表し、自分の意志で正義を判断する事の大切さを描いた道徳的な作品なのであります。