にこ

お茶漬の味のにこのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
4.2
小津映画の中で上位に食い込む好きな作品でした。
とてもよかった。
佐分利信の優しい夫役がもう、とてもいい。
なんと懐の深いことか。
今まで厳格な貫禄のある役をしているものばかりみていたので、こんな優しい尻にしかれてる夫もやっていたのはびっくりでした。大好きです。

裕福な育ちの妻と、庶民の夫。
お見合い結婚な二人は明らかに家庭内格差があり、妻が上にたち、夫の庶民な行動がイライラしてしまう。
夫婦仲はあきらかに冷めきっていて、夫に嘘をいって女だけで温泉にいってきゃいきゃいと夫の悪口をいう。
これが昭和の女子会か、といった模様笑
姪っ子のことをしっかりと叱ってくれない夫にイライラ。
鈍感な夫にイライラ。
ねこまんまでズルズルと食べることにイライラ。
どんどんすれ違っていき、海外出張のことも妻に言うことができぬまま出発することになり……

そして歴史に残る夫婦の名シーンがそう、お茶漬けである。
夫の器の広さを感じ私までキュンときちゃうくらい……
理想の夫婦です。
夫がこうであってほしい、という訳ではなく、どちらかが器の広さ、優しさが必要なんじゃないかな、としみじみ思いました。
現代ではもう即離婚でしょうね笑

笠智衆が思わぬチョイ役でまるで“ひょうたん”みたいで新鮮でした笑
奥さんの寝室が西洋風で壁紙だったり小物とか可愛くてカラーでみてみたいですね。
にこ

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