ろーしゃ

ダンサー・イン・ザ・ダークのろーしゃのレビュー・感想・評価

4.6
余裕があるからこそ、分けてもなお余る生気があるからこそ、誰かに優しくできる。それらが一切なくなったとき誰かに本心から優しくすることは可能か?綺麗な言葉では隠しきれない人間の脆くて暗い部分が、(不謹慎な表現ではあるが)溢れるべくして溢れ、悲劇の連鎖を生む。

追い込まれながらも最後まで息子を救うために耐え続けたセルマの態度は、血や遺伝という授かるもの、変えることのできない運命に対する一つの回答として考えることもできる。答えはないし他人がどうこうできることでもないけれど…。

最後の面会の場面で「なぜ息子を産んだ?」というジェフの問いかけが残酷すぎて本当に辛かった。

ビョークの演技と荒いドキュメンタリーフィルムのようなカメラワークが、重くのしかかる何かを助長する。ミュージカルってなんなんだろう。
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