Eyesworth

ダンサー・イン・ザ・ダークのEyesworthのレビュー・感想・評価

4.8
【暗闇に舞うミュージカル】

監督ラース・フォン・トリアー、主演ビョークの2000年のミュージカル映画。

〈あらすじ〉
チェコからアメリカに移り、女手一つで息子ジーンを育てるセルマ。彼女は生まれつきの病気で視力が悪く、同僚のキャシー、好意を持っているジェフ、隣人のビル夫妻ら周りの人々に支えながら毎日工場で必死に働いて生活していた。いずれセルマは視力が全く見えなくなるが、彼女には息子に同じ思いはさせたくない一心で、巨額な費用を貯金で賄うという使命があった。しかし、ある時貯金が盗まれるという事件が起き、そこから物語は暗鬱へと進んでいく。

〈所感〉
ミュージカル映画は殆ど見た事ないので、最初の工場でのダンスから、こんないきなり始まるのか!と戸惑ってしまったが、展開が進むにつれ、徐々にそれが心地よくなり、次のダンスを待ち望むようになっていた。セルマにとっては工場の機械音も家の生活音もすべて歌とダンスに必要な材料であり、その音が奪われてしまうと、彼女はアイデンティティが失われてしまうほど苦しくなる。そのためラストの静寂はどれほど辛かったろうか。確かにドラクエ7ばりの鬱作品だが、新たな自分の感情に出会えてとてもワクワクした。こんな風に音を感じてみたい。
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