えりぴょん

ダンサー・イン・ザ・ダークのえりぴょんのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

展開はまじでただただ胸糞。頑張ってるのに少女の様な純粋さが空回りしてしまって、どんどんどんどん追い詰められていくセルマ。
“ミュージカルでは恐ろしいことは起こらない”から、映画を見ているこっちまでセルマのミュージカルに逃げたくて堪らなくなる。
ミュージカルも底抜けに明るいものじゃなく、どこか憂いを帯びた不気味な雰囲気で歌詞もいい。
監獄からのシーンはただただ胸がキリキリ。処刑台にてジーンの名前を連呼して取り乱すセルマに涙が溢れ喉の奥が痛くなる。ラストで最初に思ったことは「ああ、やっと終わった」。

ジーンの手術に対するセルマの愚直な行動は、「赤ちゃんをこの腕に抱きたかったから」そんなエゴで産んだジーンに対する負い目からなのかな。それが最期にして彼女自身の人生そのものに代わってしまい、そうなると結局全てが彼女のエゴでは?とか思ってしまった。
子どもを産んだ母親は得てして人生の主役が子どもに代わってしまうものだけど。
ジーンのメガネを手に平静を取り戻したセルマは、「するべきことをした」と思いながら死んでいったのかな。
きっと彼女の気持ちは晴れていたとは思うけど、本当に彼女はするべきことをしたのかな。ジーンに必要だったのは視力より母親だったのかもしれないのに。
でも、子のためそれこそ盲目的になってしまう母親を、身勝手だとは言い切れない。

子どもが寝て久しぶりに映画見よーって気分になって、なんとなく聞いたことあるなー程度で見始めた映画。見てる間は展開が辛すぎて途中で見るのやめようかと思ったけど、ミュージカルに救われながらなんとか見終え、終わってみるとじわじわ良さが滲み出てくるような感じ。母親になって初めて見た母親がテーマの映画だから、余計に心に響いたのかも。
ビョークの演技や歌声がとっても素敵。
人にはオススメできないけど、自分は好きな映画だなーって思った。また見れるかどうかは置いといて。
まじで展開は辛いだけだけど、ミュージカルに救いを見出した“盲目”の母親の物語としてとても心に残る映画でした。
えりぴょん

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