Omizu

ダーリングのOmizuのレビュー・感想・評価

ダーリング(1965年製作の映画)
3.8
【第38回アカデミー賞 主演女優賞他全3部門受賞】
『真夜中のカーボーイ』のジョン・シュレシンジャー監督作品。アカデミー賞では作品賞他全5部門にノミネートされ、主演女優賞、脚本賞、衣装デザイン賞(白黒)を受賞した。

ジュリー・クリスティはこの年デヴィッド・リーン『ドクトル・ジバゴ』にも主演し、一躍世界的スターになった。

「田舎娘がプリンスと結ばれるまで」というのも「手段を選ばず出世しようとするわがまま娘の話」とするのも違う気がする。

ジュリー・クリスティ演じるダイアナはプリンスと結ばれることが目標ではなかったし、出世も目的ではない。

彼女はその時その時の欲で動いているだけ。だからわがままに見えるし、性を利用しているようにも見える。でも彼女はある意味素直に欲に従っているだけ。

本当の意味での生きがいや人生の目的がないから何をしても、どこにいても満たされない。

その時にいいと思ったことをやって、やっぱり違うと思って逃げる。その繰り返し。

彼女はきっとその先も満たされない原因に気づかないだろう。自分が本当にしたいことは何かを分からないまま一生を終えるだろう。

実に巧みに哀れな女の半生を描いたニューシネマ的一作。ジュリー・クリスティは『ドクトル・ジバゴ』の方が好きだけど、モードなイギリスファッションに身を包んだ姿も素敵。
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