青二歳

楊貴妃の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

楊貴妃(1955年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

誰だ溝口健二に史劇撮らせようとした奴は。永田雅一お前か。
大映カラーに映える水谷宏の美術はもう芸術家レベルだし、衣装も大映らしく最高。音楽はなんと宮内庁に依頼して唐代の音楽譜を起こしてもらったとかでスタッフ側は完璧。なのにメロドラマの枠を出ないまさかの溝口健二の手腕。むしろスゴい。
ただロマンスとして観てもヒロインがそこまで過酷な状況ではないし、楊貴妃にそれを生き抜ける力はないし、どうも迫力に欠ける。溝口らしい湿度あるややくどいロマンスなのだが、無駄に史劇パート(?)があってなんかもう萎えてくる。史劇の部分がヒロインを追い詰めるファクターなんだけど、いつも通りロマンスの障害はサクッと省略するか、こまやかで容赦ない人間関係の畳み掛けをしてくれればロマンスに集中できるところを…何故こうなったのか。演技巧者しかいないのに全員キャラが薄いなんて。

ただ京マチ子がえらい可愛くて…それだけで満足です。入浴シーンで見せる丸い肉付きのいい肩がなんとも女性らしいライン。登場シーンのハーフパンツとかキュートすぎます。
楊家のゲスな親戚に小沢栄太郎、良心的な山形勲、さらに楊貴妃を出世の道とするため楊家をけしかける野心家山村聰。
進藤栄太郎と杉村春子が後宮のドンなんだが、これはナイスキャスト笑。杉村春子すごい閨房の技を教えてくれそう。怖え( ꒪⌓꒪)侍女南田洋子の瑞々しさはもう少し堪能したかった。

“ローマの休日”や“孤独の人”みたいに皇帝が楊貴妃と祭りにお忍びデート。ここは特に日本的だなと思う。森雅之かわいい。
とにかく溝口健二が楊貴妃を撮ったら近松門左衛門のようなロマンスになりました。でもそこが嫌いになれません。
青二歳

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