三樹夫

JAWS/ジョーズの三樹夫のレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
4.7
サメ映画の始まりにして決定版かつ金字塔の作品。サメ映画でのこれが観たいんだよをほとんどすべてやったとんでもない映画。嚆矢にしてサメ映画の正解をほとんどすべてやったことで、この映画で開いたサメ映画というジャンルは、この映画を踏襲するか、サメをピラニアにしたりミミズのバケモンにしたり、サメが竜巻で降ってくるだのサメの頭が3つあるだの訳のわからない方向に進むこと以外やることがほぼなくなってしまった。それぐらい優れており最適解の演出がとられている。Jawsというのは顎という意味だったのが、この映画によってサメという意味も持ってしまうことになった。これはいいのか悪いのか分からないが、この映画のヒットにより、雨後の筍のごとく現在に至るまで大量のサメ映画が作られ続けることになる。

この映画はちょうど半分の所で二つに分けることができ、前半はサメに襲われるハラハラのサメサスペンス、後半はサメ狩りのサメアドベンチャーとなっている。
冒頭、女の子が海で泳いでいるとサメに襲われる。この襲われ方が海の中を引きずり回されるという、とんでもないバケモンのサメが海にいるということが示される。そして何も知らず海で泳ぐ海水浴客+サメ視点の映像というので、海の中にサメがいるのにのんきに泳いでることで、サメにおそわれるんじゃかないかと観ている者にサスペンスが生まれるという、サメ映画はこう作ればいい大正解の演出となっている。冒頭の海を引きずり回されるカットがあることで、とんでもないバケモノのサメに襲われるという恐怖がサスペンスを高めてる。ヒッチコック的なサスペンス演出に、撮影用のサメの機械ブルースがろくに動かなかったことで、サメはほとんど姿を見せることなく、それ故にサスペンスが高まるというさすがスピルバーグだぜというよくできた作り。キャラクターも必死こいて頑張るロイ・シャイダーに、無能市長と観てて面白い。
後半は決死のサメ狩りに移行するが、大海原に出てサメをしとめるワクワクのアドベンチャーという楽しさがある。アドベンチャー的な良きシーンは、アドベンチャーの中で育まれる友情という、お互いに古傷を見せあって仲が良くなるシーンだ。VSサメもサメと人間の知恵比べ、ウキをぶち込んでも平然と海に潜るというので対決しているサメの凄さが表現されている。後、サメのデカさがちょうどいいデカさ。アホみたいにでかくしたらギャグになってしまうし、リアル感のあるデカいサメというので恐怖感がある。
ロバート・ショウは最初サメ狩りなんぞ俺一人で十分とか言ってたけど、あんなんワンオペじゃ絶対無理だろ。リチャード・ドレイファスはアイテムを落としがち。
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