マサミチ

世界の中心で、愛をさけぶのマサミチのレビュー・感想・評価

世界の中心で、愛をさけぶ(2004年製作の映画)
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観るのは10何年振り2度目。原作は未だに未読だが確かに内容は陳腐な難病物だろうし、その映画化なんてちょっと映画を観てきているマニアなら普通は相手にしないだろう。

しかしこれ、そうやって食わず嫌いするのはあまりに惜しいほど、脚色、撮影、音楽、演出、演技とスタッフキャスト陣が本気出して作ってる。【ある愛の詩】など世界の名だたる難病映画と比較しても遜色無い仕上がり。

特に導入部が上手いと思う。古いカセットテープを偶然見つけた足の悪い女性の柴咲コウが夜の人混みの中でテープを聴く。現実音が消え、聴こえてきたのはか細い消え入りそうな少女の声…。

このシークエンスで一気に物語の中に観客を引き入れるのだ。

また10代だった頃の初々しい長澤まさみを記憶に残るような切り取り方をしているし、まだ少女ながら時々ドキッとする"オンナ"の顔を見せるのは流石。

森山未來と大沢たかおも風貌が似通っているおかげで現在と回想の繋ぎが無理がない。

過去の恋を精算出来ない男とその2人の邂逅に傷をつけてしまったと悔恨する現在の彼の婚約者、どうも原作には無いらしいこのオリジナルの構成が上手くいっている。
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