観々杉

風が吹くときの観々杉のレビュー・感想・評価

風が吹くとき(1986年製作の映画)
4.5
同名の漫画を映画化した作品。救いが無い作品は度々SNSで話題に挙がるが、本作はその筆頭といえる。前半部分は世界情勢のニュースについて話し合ったり、イギリスらしいジョークも交わされたりと穏やかである。転機になるのはラジオから流れた3分後に核が落ちるという、孤立無援な状況で知識も対策も足りない二人に取って逃れようの無い地獄である。ここから色調が不気味な紫色の強いものとなり、不安を掻き立ててゆく。起きている事態に対し、二人が楽観的に考えていることが、鑑賞者にギャップを生む。グロテスクな描写は少ないものの、ミニマルだが鬱屈とした境遇が『ジョニーは戦場に行った』を想わせる。リアリティを重視したアニメーションの名作。
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