haizi

風が吹くときのhaiziのレビュー・感想・評価

風が吹くとき(1986年製作の映画)
4.8
“スノーマン⛄”で有名な絵本作家、レイモンド・ブリッグズ原作の絵本を映画化した愛らしい作画の絶望的な救いのない物語。

「原爆が落とされるよ~」という情報に右往左往する老夫婦。
唯一の被爆国である日本人的に、老夫婦の行動はあまりにも無知でお気楽極楽↓↓

お上が発信する原爆対応マニュアルを実行する老夫婦。
その姿は、真摯でクソ真面目で、日本人の私から見ると滑稽にすら見える。
そして、絶望的展開。。。。
じゃぁ、お上が正しい情報提供をしていたら、この愛くるしい老夫婦の未来は変わっていたのかしらと思うと、甚だ疑問。
お上が正しい情報を持っていたのかも疑問だしね。

お上の助けを信じて衰弱していく二人の姿は切なすぎる。
お互いを労わっているからこそなおさら( ;∀;)

だけど、、、実際の広島、長崎の原爆投下での惨状に比べれば、甘々な描写だと言わざるを得ないかな。。。。

日本でも、“はだしのゲン”が学校の図書館から消えたりした。
判断能力のない子供たちに偏った思想の作品を見せるのは如何なものかっている理屈も理解できる気もするんだけど、なんだかなぁ。。。とも思ってしまう。

本作の老夫婦の無知にイライラしたりもするけど、私も同じ時代に同じ環境にいたら同じ行動をとるかもしれない。
今の日本が同じ状況になったら、お上からのお達しを盲信し老夫婦と同じ行動に出る人達もいるのではないかしら。

無知であることの愚かさと、下々の者には無知であって欲しいという圧倒的な力の思惑を考えさせられる作品。

私も無知な側面は多々あるんだろうな。。。

とにかく、戦争は駄目よ、ゼッタイ!!

1986年にイギリスで公開された本作。
日本語版の監修は大島渚監督。主人公の声を森繁久彌さんとと加藤治子さん。そして音楽をピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズが担当して、主題歌を歌うのはデヴィッド・ボウイという何とも贅沢な面々が関わっている本作。
多くの人が戦争や核に関心を持っていたからこそ出来た作品なんだろうな。
そしてその作品を今観る事の出来る有難さ。

老若男女問わず、たくさんの人に観て欲しい作品。

日本被団協のノーベル賞受賞。
とても意義深いものだと思う。
なぜこの時期に、、、とかゆう邪推はやめて、受賞を心から喜びましょう。


もう一度云う。。。
戦争は駄目、ゼッタイ!!
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